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2020/02/10

むせるナポリタンのなぞに迫る


某日


あるカフェギャラリーにて食事。
店内は一番人気というナポリタンの匂いで充満していたし、わたしは自他共に認めるナポリタンマニアだけれど、その日はなぜかカラスミとエビのパスタを注文した。

季節の柑橘類をソーダで割った飲み物は、ミントも新鮮ですこぶるおいしい。(その後、わたしは二杯飲むことになる)次にでてきたササミとアボカドのマリネ、ビジュアルもさることながら味もよく、次の料理への期待値もグンとアップ。友人らが注文したアラカルトも競うようにして食べた。

ところがそれから、いくら待ってもメインであるナポリタンとカラスミパスタが登場しない。あとから来たとなりの席の女性陣、テーブルにはすでにパスタが並んでいるのでそこにきて「あれ?」と思っていた。

1時間半くらい経った頃だろうか、ようやくナポリタンが運ばれてきた。友人二人がいっしょに頼んだ1.5倍、チョモランマ風オレンジの山。わりとガッツリとした量だった。わたしが好ましいと思うベチョベチョのオレンジレッド。このテのスパゲッティはどぎつければどぎついほどいいと思っているので、この容姿端麗なナポリタンをわたしは心の中で褒め称える。「心の中で」というのは、わたしが注文したものではないので手放しには喜よろこべないのである。そしてわたしのカラスミパスタはまだきていなかった。


件のナポリタンではなくわたしのコレクション

お待ちしておりましたというように、友人のMがさっそくフォークを取り口に入れた。
グフォッ
むせた。
「これ……酸っぱくてむせるよ……」
と言われたにもかかわらず、次に手を出したYも見事にむせた。
「ケチャップだけでこんなになるはずないから酢が入ってるのかも……」
いやいやナポリタンに酢はないでしょーよ……(と思っていたけれど今調べたらわりとよくあるレシピらしい)

そしてこのオレンジの大皿はわたしの前にやってきた。ナポリタン素人たちを目の前に、わたしはプロとしての威厳を見せつけようと気合いを入れて真っ赤な麺を口にする。
ゲホッ! ゲホゲホゲホッ!
それはマンガだった。マンガのようにむせてしまった。屈辱の「三連発むせ」。我々はナポリタンに敗北したのである。

そのあと無事にカラスミパスタが到着し、その旨さにあっという間に平らげた。彼女たちの真紅の麺はものの見事に残っている。
「アソビなら食べられるよね……?」
と言わんばかりの友人らの熱い視線を受け、わたしは酢飯を作る要領で、手のひらでガンガンにあおいで酸味を飛ばしてすべて食べた。正直、味がわからなくなっていた。

むせ問題でスッカリ写真を撮るのを忘れてしまったのだが、とにかくあのキョーレツなむせはなんだったのだろう。そして一番人気と誇るナポリタンがあの味……? ほかのメニューはどれも完璧なのに……? 三連発でおかしいやら不思議やらの気持ちを抱えたまま、わたしたちは次の現場カラオケボックスに向かっていた。

電車の中で、Mが「やっぱり……」とスマホの画面を差し出す。食べログ的なサイトでそのナポリタンに「むせた」とレビューしている人は皆無。しかも、アップされている写真を見る限り、わたしたちのような真っ赤でベチョベチョなものは一枚も載ってない。それどころか、やはり「名物」「ナポリタンといえばココ!」などと絶賛の声ばかりだ。

わたしも友人らも怒ってはいない。ほかの料理は皆おいしかったし、三連発のマンガシーンは大変愉快だった。怒りのカケラもない。けれどもやはり、やはりあのナポリタンは失敗作だったのではないかと思う。その思いを確固たるものにして溜飲を下げたいので、近いうちに少し離れたあの街へ行くつもりだ。ナポリタンマニアとして、あの赤い物体が一番人気ということにどうにも納得できないからである。


……と、これを書いたのは、さっき小籠包を食べて、酢のかけすぎでむせてしまって思い出したからなんだけど


ーーー


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