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2018/01/13

ハチコラム ことしの抱負・母校のアイドル・ ハツカツカレー

▼ことしの抱負



「今年の抱負はねぇ……」
と声に出して考えて、(ないな、べつに)と思い、そのまま仕事に突入した。
それから5分くらいたっただろうか、隣の席の同僚がいきなり
「早く教えてよ!」
と言う。
いったいなんのことか。
「まさか。ないの⁈」

どうやら今年の抱負、その続きがあると思っていたらしい。
ビックリされたけれど、こっちだって5分待つというその忍耐力にビックリした。




▼アイドルは永遠のおんなのこ


イラストレーター ハシヅメユウヤの個展「eyewater 展」

同級生の男子たち(と言ってもすっかりおっさんである)が、才色兼備だったミキの話題をふってきた。
「年賀状だけのやりとりならしてるよ。まだ独身みたい」
そう言うと、会いたい会いたいのコールがはじまり、かつては苗字で呼んでいたくせに、なんの許可も得ず「ミキティー」などと呼びはじめた。
なんだよミキティって。どこのどいつだよ。

「お前しかいないんだからさ、連絡してくれよー」
そう言われましても。
んーアドレスは書いてなかったような気がする。最悪、携帯番号が載っていればいいか……と思っていた。

それにしても、いったいどういうことだろう。
たしかにかわいらしい女子ではあったが、女らしいところはひとつもなかった。色黒で筋肉質で、おまけに声も低い。自然体でサッパリした性格だったし、女子からの評判もよかった。運動神経も抜群で、なにより賢かった。
みんな何? そんなに好きだったの?
そうじゃない、とにかく呼べと言うのみ。

年をとったからと言っても、恋愛経験積んだからと言っても、同級生男子たちの気持ちはさっぱりわからないものである。

さて、彼女からの年賀状にはアドレスも携帯も明記はなかった。
じゃしょーがないか、と、彼らが忘れるのを待った。

そしたらもう翌日にはLineで攻めたてられる。
これじゃあ私が悪者じゃないか。
わかったわかったわかりました。

というわけで、年末に年賀状を出し、年明けにその返事をもらい、また改めてハガキを出すという江戸時代のようなことをしている。私は飛脚か。


▼はじめてのカツカレー

30時間くらい何も食べていなかった。
人間、お腹がからっぽ、もしくはそれに近い状態になると、本当にお腹が鳴るんだ…鳴り続けるんだ…というかコレ、怒り狂ってる? 訴えかけてない? 直訴? 直々な直訴? 何人くらいからの集団起訴? …っと思うほどの音がする。ブタのような小人が3人くらいお腹の中にいて、ブーブーと文句を言っているように聞こえてくるのである。

脳は欲してないのだが、腸にいるであろう3人の小人の直談判に負けて、コンビニに行ってきた。

「なにかお腹にたまるようなものがいいんだろうな……」
と店に入ったものの、もうすっかり夕方。お弁当の棚にはほとんど残っていなかった。
下の方に「中辛」と書かれたカツカレーがある。比較的ボリュームもありそうだ。
近いうち、カツカレー好きの友人にオススメのお店に連れて行ってもらう約束をしていたが、「まいっか」とレジに持っていった。
......というのも私は生まれてこのかた、カツカレーという邪道なものを食べたことがなかったのである。

事務所に戻り、腹の3匹を黙らせるために私は食べた。
辛いっ!
しかしまずいというほどではない。
食べられない辛さでもない。
でも辛い。いやでもまずくはないよ。3匹を黙らせる量ではあった。

しかし初の料理、うっかりコンビニのものを食べてしまったか......。
もういっぱしの経験者である。
コンビニだろうが、他人の残りだろうが、高級レストランだろうが、カツカレーはカツカレー。
なんでやっちゃったんだろ私......。初体験なんて、だいたいそんなものである。
ということで、「50を過ぎたら食べるもの」リストから、またひとつ未経験が消えた。490円だった。

このうっかり初体験を、とくに誰にも告白する元気もなく、ひとり(あー食べちゃったなー)と思っていたら、狙いを定めたように友人からメッセージがきた。
レシピサイトが貼られている。



は。

そして元気よく続けた。
「これ作りたい!」
「いや、作る!」
カツカレー好きな友人である。好きすぎて、よく絵にも描いているほどだ。
「......。」
ちょっとなんだかよくわからない。
心の準備もままならず、とりあえずロストカツカレーの話をした。

「おっ!」
「どうだった!」
まだまだ元気である。
今はあの、グリーンの集合体のことで頭がいっぱいなのだろう。
いや、もしかしたら、好物と掲げているカツカレーが褒められるかもしれない。この瞬間を待ちに待っていた可能性だってある。
うまかっただろう、キョーガクしちゃっただろう.....これまで食べてこなかった自分、後悔したなー? そうでしょうそうでしょう、そりゃそうでしょう......と言いたかったのやもしれなかった。

そこでやんわりと、さらりと、まろやかに、あくまでもチョーワの梅酒のような流れで購入先を伝えてみた。

「あーーー」
「コンビニか……」

それっきり、まるで地雷でも避けるかのように、カツカレーの話はいっさいでてはこなかった。