
バスに乗り込んできた、小学校にあがるかあがらないかくらいの男の子が、おばあちゃんの手を引いて
「ぼく、おばあちゃんと一緒に座る。ね、一緒に座ろうね、おばあちゃん」
と言っていた。
おばあちゃんは死んでもいいってくらいうれしそうな顔で、何も発せず男児にほほ笑んでいたけれど、じっさいに座ったかどうかはそのまま後ろに行ってしまったので確認していない。
このバスには毎日乗っているけれど、その日、坂道で聞きなれない異音がした。
なんというかこれが、うまく表現できないのだけど、グギギギギギ…グガアアアアアーーーという感じの音で、「只今、がんばって坂を登っております!」と、バスの意気込みのような音なのだ。
ふだんからこんな音がしているのに気付かなかっただけかな? と思っていたら、先ほどの男の子が
「がんばれー! バスー!」
と言ったので、あ、やっぱりがんばっている音に聞こえるんだと思い安堵したら、即座におかあさんが
「(バスではなくて)運転手さんでしょ」
と言う。
男の子の表情は見えなかったけれど、はい、でもバスががんばってるように聞こえたんですよ……と少しいじけた気分になった。
ところで、"死んでもいいってくらいの表情"というのは余計でした。
心優しき男の子のためにも、おばあちゃんには長生きして欲しい。
心優しき男の子のためにも、おばあちゃんには長生きして欲しい。
某日 奥さん!

インドネシアで55歳差婚がありましたが、こちらはマクロン仏大統領夫妻(25歳差)
息子のオンと、2人でごはんを食べに行った時のこと。
店員さんに
「奥さんのをお先に」
と言われた。言うまでもないが、26歳の息子の妻に見えたということである。その瞬間に
「うわーーーーー! 奥さんだって奥さんだって!」
と騒いでしまい
「それ、うれしいの?」
とオンが言う。
「え、そりゃうれしいでしょう」
と言うと、
「ふうん……」
となんだかよくわからないというような態度でスマホに目を落とした。
……と、このような自慢を同級生らにしたところ、伊藤ちゃんは、旦那と一緒にいたときに「息子さんですか?」と言われたことがあるという。
2歳年下ではあるが、息子というのはさすがにないような気もする。
……と、この顛末をTwitterに書いたら、友人が
「伊藤ちゃんのことを息子だと思ったの?」
と返してきた。
その発想はなかった。
しかし、息子と私が夫婦だと言われることもあるくらいだから、他人からどう見えるかはわからないなと思った。
……と、この一連の流れを同僚に話したところ、
「そもそも『奥さん』というのは、べつに夫婦という意味ではないのではないか。八百屋さんだってよく『そこの奥さん! 安くしとくよ』と言うではないか」
と言う。
混乱してきたし都合が悪くなってきたのでこの話は終わりにする。
某日 車という名の喫茶店

喫茶店に行く。
ナポリタンの具が、ピーマン、ハム、玉ねぎで、私が家で作るものといっしょだった。
セットにすると700円なので紅茶を注文して、ナポリタンが500円なのかそれとも400円なのかとくだらない議論をする。
友人は、リスカっぽいからという理由でレスカを注文していた。
レモンスカッシュをレスカと略すのは純喫茶ではよくあることだし、リスカっぽいというのは少しムリがあると思ったが、メニューの文字を見て納得した。たしかにリスカっぽい。どこがどのようにと明確に伝えきれないが見てもらえば言わんとしていることは伝わるはずだ。
ナポリタンの具が、ピーマン、ハム、玉ねぎで、私が家で作るものといっしょだった。
セットにすると700円なので紅茶を注文して、ナポリタンが500円なのかそれとも400円なのかとくだらない議論をする。
友人は、リスカっぽいからという理由でレスカを注文していた。
レモンスカッシュをレスカと略すのは純喫茶ではよくあることだし、リスカっぽいというのは少しムリがあると思ったが、メニューの文字を見て納得した。たしかにリスカっぽい。どこがどのようにと明確に伝えきれないが見てもらえば言わんとしていることは伝わるはずだ。

私たちのほかに、高齢の男女が税金対策の話を大声でしていたが、内容から察するに夫婦ではないようだった。
お互いにニット帽をかぶり、ダウンジャケットを着ている。
店内はあたたかい。高齢にもなると、着脱がめんどうになるのだろうか。
トイレに行くと、壁際に石油ファンヒーターが三台も並んでいることに気付く。すべて稼動しているようだった。
ゲームテーブルもあるし、安いし、ナポリタンはおいしいし、ファンヒーターは三台ある。
満足して店を出たが、店名の「車」の意味を訊けばよかったとあとで後悔した。
友人は「車好きなんじゃないの?」と推測していたが、店内に車に関するものはひとつもなかったし、店主の苗字なのではないかと私は思う。
寅さんも「車」だし。
そう言ったもののあとで自信がなくなり、調べたら車寅次郎で合っている。
「車」はあっても、電車と言う苗字はないのではないか?
汽車もなさそうだ。二輪車なんて、ぜったいにないな。