笑顔のウエイターが印象的なコジャレカフェに行った。ハッとするほどの笑顔をみると、こちらの顔の筋肉まで引きつりそうになるので、インパクトはたしかなものがある。忘れない。そういう意味では成功だろう。
笑顔の彼のサービス精神なのか、店の指導がいいのかわからないが、それにしても無念なのは、たまに顔の筋力が弛緩することで、ことさら残念なことは、その都度彼が「ハッ!いけね!」という一瞬の表情でワンクッションおいた直後に再びスマイルを復活させることにある。あれは残念だった。しかも面白い。
ただあれだけ筋力を酷使していたら、腹の筋のようにそのうち6つに割れたりするのかもしれない。期待したい。あとつったりしないのかな。家でやってみたけど、よくわからなかった。
コジャレのわりに、思わぬいきおいの種族、サラリーマンの集団率が高くて驚いた。
このような店は、女の気を引くためにくるんじゃなかったのか。
男同士で女をひっかけにきているとも思えない。寄ってたかっていったいなにを話しているのだろう。デザートどうするぅ?とかだろうか。
「鮮魚コース」は刺身コースだと思っていた。
でてきたものはサケのボイル、の、ようなものだった。しかも濃厚きわまりない精液のようなクリームがリアルにぶっかけられており、それを口にするのはやや屈辱的でもある。
新鮮を名乗るなら刺身にするべきではないのか。世の中的にはそれを容認してるということか。むしろ私が無知なのか。
「土屋さん!それなんですか!?なんなんですか、それ!」
同行者が小さい叫び声をあげた。なんの脈略もなくいきなりだったので、私はまた動揺してしまった。何言ってるのかさっぱりわからない。
机の上に無造作に置いてあった、私のボロボロの携帯(しかもごつい)がよほど物珍しかったらしい。
「トランシーバーか、ガイガーカウンターかと思いましたよー!!!でもまさか、放射線にビビる人の笑い話を散々しておいてまさかガイガーはないかなーって!」
と嬉々としていた。
二枚目な感じの仮面ライダーのようなガイガー、なにそれ?って聞くタイミングを逃す。
その後、「大理石と謳っていたがあやしいと思っていた外壁が、3.11の地震であっさりとはげ落ち、その嘘もはげ落ちた」ことで有名な、あるいは無名な、そんな気の毒なビルを見物した。
家にもどったら私のガイガーが、意外なところで使用されてることを知る。
どっかの国の日本食レストランでは、運んできた料理にいちいちガイガーカウンター(放射線量計)をかざしては客にその値をミロミロと確認させるという。涙ぐましいご努力。けれどもむなしく廃業。
私のガイガー、返してくんないかなー。そもそも持ってないけど。