某日
デイリーポータルの面々が「にがおえバイキング」をやっているというのでトーキョーピクセルギャラリーに行った。あまり絵を描く印象のない
西村さんが参加するのを知って
「西村さんって絵を描くんだっけ……?」
と藤原に訊いたら、その人のイメージに合った市章を作るのである、と返ってきた。それは面白そうだぞ……と狙っていたのだった。
店の奥に、机がいくつかあって、そこに先生(にがおえを描いてもらうので先生なのである)がいる。
学校の机のような、小さなスペースの上で、西村さんはスケッチブックではなくノートを広げて「土屋」の文字を分解していく。これは下書きというかラフの段階で、帰宅後デザイナーの奥さんに仕上げてもらうとのことだった。
市章はだいたい円形なのだ。フリーハンドでさくっとカーブをつけると、西村さんは秘密兵器みたいにコンパスを取り出した。たしかうちの息子も持っていたはずだけど、自分の小学校の頃のことを思い出す。
現代のコンパスはなんだかちょっとスタイリッシュでかっこよくなっていたけどコンパスはコンパスだった。いろんなことが進化して消えているのに、この鋭利な文房具はまだある。学校崩壊やイジメの時代に、この凶器がまだ残っている。
北村ヂンくんもいたので、前々から気になっていた贋作にがおえ F(ファンタジー)先生風も描いてもらうことにした。これも顔面をiPadでパシャリと撮って、家で完成させてメールで送ってもらう。コンパスとちがって、こういうことは進化している。
そういえば上野の名物だった似顔絵のおじさんたちは、いまどうしてるんだろう。階段に座っていつも暇そうにしていた。本職だったのか副職だったのか……もしかしたらただの趣味だった可能性もある。
さて、西村さんから市章が送られてきた。
土屋ではなく「はちみせ」に変えてもらったのだった。
真ん中が8でまわりにセが3つ。
申しわけないことに、何種類か送ってもらった。西村さんも奥さんもありがとうございます。マンホールみたいなこれが一番気に入った。
贋作にがおえ F(ファンタジー)先生風
かわいく描いてくれと言ったら、「まあだいたいかわいくなります」とのことだった。
リアルで髪の毛がピンクだと、もう何がいいのか悪いのかわけが分からなくなっているけども、イラストにするとすこぶるかわいい。
そしてなによりキャップとTシャツがかわいい。
はちみせでまだ売ってますからみんな買いましょう。
そういえば西村さんが
「わざわざ来てくれたんですか」
と言ったので
「ついでがあったから……」
と即答してしまったのを思い出した。たしかについでがあったけど、でも市章も作ってもらいたかったんです、ついでとか言わなければよかった。わたしの日常は言わなければよかったことが多すぎる。そして「あ」と思ったとき、深沢七郎の「言わなければよかったのに日記」を思い出して、まあいっか……と開きなおる。
某日
いいかげん照明買い換えようと思っていた時期に、頭をぶつけて照明カバーが落ちてきた。これがどうやって落ちたのかさっぱりわからない。どう考えても落ちるような仕組みじゃないのだ。
カバーはカバーだけれど、天井から吊るしているリードを外さない限り、カンタンに落ちるような構造ではないのである。
落ちるのもカンタンではないのだから、取り付けるのももちろんカンタンではない。
ひとりでやってみて断念。息子にやらせてみて断念。来客があればみんなに試してもらったけれど、けっきょく誰も取り付けられなかった。
本当にどうやって落ちたんだろう。知恵の輪にでもなっているのか。
電化製品やMACは悪口を言うと急にがんばりを見せたりするけれど、照明は打たれ弱いのかもしれない。
ところでけっきょく新しい照明はまだ届いてないのでうちは裸電球です。
増税前にと思って目当ての照明を買ったのだけれど、これもまた奇々怪界なシロモノで、リード部分が1m70cmもあると商品ページに書いてある。図書館か体育館にでも吊るすつもりだろうか。どう考えてみても通常の住宅では床につきそうな勢いだ。というかつくかもしれない。気がついてよかった。リードカットを申し出たら、対応してくれるとのことだった。
そのことをランチのときに話したら、おもしろいから床につく照明の写真を撮ってくれと一同に言われた。それはたしかに絵になるな……と思ったけれど、いくらなんでもそんなサービス精神は持ち合わせてない。
あぶないところだった。
ーーー
あとはちみせ新作、昨日出たんですけど、SOLD OUTになりました。
ありがとうございます。
はちみせ集大成バインダーと
クリアがすぎる石マルチケースでした
また新たな新作、懲りもせず来週に出ますので
よろしくおねがいします。
はちみせ