わたしが殺生するのはせいぜい蚊くらいなものなんですが、さっき、手でにぎり潰したらヤツはまたヨロヨロと飛んでいきました。 わたしの手のひらに、真っ赤な血がついています。蚊に吸われた血を自分の手で取り返した私は勝者なのかなんなのか。ようするになにが言いたいかというと、身と股間の引き締まる思いです。土屋遊です。

さて、わたしの陳腐なイメージで、金持ちといえば、部屋数でも野外プールでもなく“はく製”なんですがみなさんはどうでしょうか。



 一番古い記憶の中にある金持ちの家は、階段に真っ赤なじゅうたんが敷かれ、その途中にドでかいワニのはく製が置いてありました。当時三畳の子供部屋をやっと与えられていたわたしはこの階段に住みたいと本気で思いました。

二番目の記憶では玄関にパンダの敷物が敷いてありましたが白い部分が黄色く染みついていて私がそれを指摘すると「うち、貧乏だからクリーニング出せないんだよね」とスネ夫でも考えつかないようなイヤミを言った友人が印象的でした。その日のうちに醤油入りコーヒーを飲ませて復讐しておきました。

三番目の金持ちは外玄関にトラのはく製を置いて道行く人を威嚇していました。家の主もはく製トラに負けず劣らず威嚇感のある人たちで近所から恐れられていましたがわたしは仲良しでした。ご主人が逮捕されたくらいからトラもどんどんみすぼらしくなっていき、見るに耐えない形相になっていったのはかなりの哀愁でした。今思えばあれはトラゾンビのようでした。

急に思い出しましたが、キジやタヌキのはく製って田舎に行けば行くほど目にする機会が多くなりますがあれは何かの暗号でしょうか。家のイメージを一気に突き落とすほどの独特な三流オーラは何かきっと意味があるにちがいない。

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書きました。編集長林さんに、「人んちのタッパーって小エロですね」って言われました。そう思います。

あなたんちのタッパー、多すぎやしませんか？ - デイリーポータルZ
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協力してくれたみなさん、どーもありがとう。

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