『この世で一番肝心なのはステキなタイミング』という坂本九の歌を聴くと、『タイミング』が印象に残ります。
しかし活字にすると、わたしにとってこの20文字の一瞬の印象は『砂肝』なのです。
おそらく、『肝心』という漢字に全身の神経が集中してしまうためだと思いますし、砂肝がそれほどおいしいから、ということも言えるでしょう。『アン肝』の方もいるかもしれませんが、あーダメダメ。あれはきらいですから思いだしたくもありません。文フリのときに差し入れに持ってきてくれた玉置豊さんを一生恨んでいますから。
さて。もちろんこれはわたしにとっての視覚的印象であって、人によっては『タイミング』が強烈に脳裏に残り、連想するのは『タイピング』かもしれないし、『サッポロ一番』かもしれない。数学に強い人であれば一瞬のうちに『20文字』を悟るだろうし、場合によっては『漢字+ひらがな+カタカナ』 つまり 『5+7+8』と言う数式がひらめくかもしれません。脳の構造がより複雑ならば『68画!』と答え一発かもしれないのです。
とにかく、脳みその引きだしが少ないわたしはあらゆる文字(店名・人名などを含め)を一瞬の感覚に頼って記憶しています。つまり印象派だということが言えます。ぜんぜんちがいます。
そんなわたしですから見知らぬババア&娘らしき女子に
「このへんに『フクジュ』っていうお店ありませんか?」
と訊かれたとき、
「『フクジュ』?それは漢字ですか。ひらがなですか。カタカナですか?ローマ字ですか?ハングル文字ですか?」
とかえしました。
そりゃあ最後のハングル文字についてはたしかにジョークではあったけれども、だからと言ってお礼もなしにいきなり早歩きで逃げることはないと思うんです。
「それは何画ですか」
と聞くよりよっぽどマシだと思うんだけどなあ。
※ちなみに福寿でした。そう言ってくれればさいしょっから一発でわかるのに。わたしには通用しないんですよ、口頭では。ビジュアル派にとって世知辛い世の中です。
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