ハチコラム 人生にゆとりを生み出す「知の整理術」
phaさんの文体は、性格というか生態みたいなものが言葉を選びつつもむき出しになっているような気がして好きだ。
今回は、過去のものと比較すると少し異色な内容で、じっさいどうなんだろうと思いながら開いた。
京大卒(しかも現役合格)でありながら、彼のエッセイやコラムから「知の人」だということを思うことは皆無で、それはあえてそうしてるのかもしれないけれど、読了後はなぜか安堵した気分になる。
生きづらさを抱えてる人が、少し軽くなるような作品が多い。
それでもなにか得た気分になる希有な存在の作家だと思う。
ホンモノの賢者ならではの、「どんなジャンルのどんなレベルの人にもわかるように書かれている」ことはよくわかるのだけど、今回の『知の......』を読んで、これは凡人が想像できる範疇を超えたものだったんだな......と言うことを痛感した。
人間の敵である「めんどくさい」気持ちを、いかに「めんどくさくなく、できれば楽しみながらできるようになるか」という内容を、実体験をもとにていねいに書いている。
努力や気合いとは対局にあるから、「これならできるかもしれない」という気にさせてくれるようなゆるいハウツー本、過去にあっただろうか。
ふだんのエッセイよりも、本やマンガの引用が少ないような気がした(気がしただけ)けれど、その分、巻末には付録として教養が身につけられるマンガの紹介をしている。
科学、アート、歴史、文学、ビジネスから受験勉強まで。
気軽に読んで興味の対象がでてくると「もっと」というふうに広がると思う。
心理学や脳科学的な内容も多々出てきて、そこがひどく興味深くて参考にもなったし確信にもなった。
おそらくご自身の体験ばかりだと思う。
それを言葉や文章にすることは、忘れないために大事だということも得られた。
私はデスクの横にA4の紙をいつも置いていて、メモやアイデア書きに使っているけれど、タテよりもヨコの方が良いということにハッとした。(詳細は本著を)
『教える』ということは、総体的に上から目線になりがちだし、それは当然のことなんだけど、phaさんの場合はそれが一切ない。
これは彼がよく言う「自分は我慢ができないダメな人間」だからではない。
性格そのものなんだと思う。
「ぼくはやさしくない。他人に興味がないだけ」
という旨のツイートを読んだことがあるけれど、そんな人がこの本を書けるはずがない。
知識や情報は、学者や賢者だけのものじゃなくて、万人に自由に開かれてる。
無知は罪ではないけれど、そのことによって損をすることがないように。
タイトルは『知』とあるけれど、この本は、もっと自由に、ラクに生きられるようにというメッセージがあるように思う。
勝手に思っただけだけど。
そんなphaさんは、昨日なぜか歌の練習をしていてTwitterで流してました。
うまくなりたい、とのこと。
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