久々のブログなので、これから書くことをみなさんにも教訓にしてもらいたい。
風呂に入っていたら、脈略なく
「そうだ、さっき買ってきたオレンジゼリーにあんずジャムをつけて食べるときっとおいしいぞ。おいしいにちがいない」
と閃いてしまった。
風呂での閃きは初体験である。
「湯船に浸かっているとアイデアが湧く」と耳にしたことが何度かあるけれど、わたしはまず風呂に入らないし、入ったとしても「一刻も早く出たい」の一心なので、閃く余裕などなかったのだった。なるほど、閃きは余裕から生まれるのかもしれない。
けれども今わたしに余裕があるかというとそうではなかった。なにしろ閃いてしまったので、一刻も早く風呂から上がり、オレンジゼリーにあんずジャムつけて食べなければならない。けっきょくのところ、「一刻も早く出たい」という思いに変わりはなかった。
風呂に入れば身体も温まるであろうなどと思っていたけれど、出たらふつうに寒かった。入浴というものはとことん役立たずである(閃き以外は)。
身体をてきとうに拭いてTシャツとジャージを着て、すぐに冷蔵庫を開いて件のゼリーとあんずジャムを取り出す。スプーンにゼリーとあんずジャムを乗せたら、色がほぼ同じなのでこれといった感動はなかった。口に放り込んでみると、あろうことかオレンジゼリーにナタデココが入っていたらしく、「はい?」と思ってしまったので味がどうのこうのと感じている隙はなかった。驚きは味覚を狂わす。
いてもたってもいられなかったわたしは、ここまでの一連の初体験を立ったまま行なっていたので、「少し落ちつくか……」と思ってイスに座ってテーブルと向き合った。がんばって落ち着いてみたが、やはりオレンジゼリーとあんずジャムは、オレンジゼリーとあんずジャムであり、それ以外の何ものでもない。あとでTwitterに書こう〜と思っていた名ツイート「オレンジゼリーとあんずジャムとのマリアージュ……」といった奇跡は起こらず、もう本当にオレンジゼリーとあんずジャム、ときどきナタデココ。明瞭に三者三様、味はキッパリと互いを拒絶しているのだった。逆にすごい。
結論として、やはり入浴で得るものなどなにもないということがわかった。あと、ジャムとのマリアージュ……などとダサいツイートをしなくて本当によかった。