家から7分の仕事場まで早歩きしただけで筋肉痛になる有様だが、わたしにも早朝から晩まで運動をしていた時期があった。しかも6回もあった。
陸上部の合宿である。
わたしの60年弱の人生の中で、あの一週間ほど肉体的に過酷だった日々はない(ような気がする)。
このことは、言っても誰も信用しないだろうな、ってあまり口にすることはないけれど(とはいえ何度か言ってるし書いてるがな)
「筋肉痛は精神的なもの説」
がわたしたちにはある。わたしたちというのは、いっしょにゲロを吐きながら地獄の合宿期間を過ごした部員、全員のことだ。
合宿は一週間。初日の夜からひどい筋肉痛になる。1年から3年生まで20人以上が一斉に、全員苦しむ。
階段の上り下りさえままならないほど悲鳴をあげてる肉体に、さらに酷烈な負荷を与え続けて7日目の最終日、筋肉痛がピタッと治ってしまう。しかも例外なく全員。
驚きませんかコレ。というか自分たちが一番驚いたんだけど、驚いたまま40年も経ってしまいました。
そしていまだに「あれはいったい......?」と、狐につままれたような気持ちでいる。合宿は年に2回。毎回同じ状況だった。
そのことを、今日うちに来ていた友人2人に話したのだった。語る相手がわたし1人だったら誰も信用しないだろう。わたしだって信用しないよ。
けれども今日は、これ以上ないほどの強い味方がいる。人生一番の過酷な日々を共に過ごした心強い友人がその場にドンピシャにいたのである。
わたしたちは熱く語ったと思う。これはさすがに信用せずにはいられないでしょーね...証人いるんだからね......と思ったものの、「筋肉痛は筋肉痛で制すらしい」「だいたい7日くらいで治るんじゃないか」などと話はうやむやなまま終わってしまった。
だとしても、あんなにピタッと、帰りの瞬間に20人全員一斉に治ることはやっぱりミラクルだと思いませんか。
ちょっとググってみたけれど、まったくわからない。この件について、溜飲を下げることは一生できないのかもしれない。もういいよ、驚いて40年経ってるんだしこれから先も驚き続けて死ぬ瞬間にも驚いて、墓石にもエクスクラメーションマークを刻み......。
しかしなんだったんだアレ......