【る】ルイベ
そ~いえば最近あまりしなくなったけれど「しりとり」が得意です。わたしの場合、しりとりで重要なのは「る」なんです。「る」が勝敗をキメるといっても過言ではありません。
他の方々は知りませんけども、他の50音と比べて「る」で始まる名詞が圧倒的に少なく、それを見越してまずは「語尾る攻め」と名付けた「『る』で終わるコトバを探す」攻撃からスタートします。
あひる、アルコール、イスタンブール、ショーガール、スペースシャトル、味噌汁、ローラースルー……。
それに気付いた相手は、なんとか反撃を試み、ここから勝負は佳境に入ります。あるていどの「るストック」は用意しておかなければなりません。
出し尽くし、もうあとがない頃、いまです! 最後の勝負にでるのです!
「る」からはじまり「る」で終わる、「ルール」や「ルイスキャロル」を小出しにしたあとラスボスを登場させます。敵を小バカにしたような、精神的にも大きく痛めつけることができる名詞、そのしりとりゴロシの二大大御所が「ルール」、そして「ルル」です。そう、あのかぜ薬のルル! これがとにかくダメージを与え、ペチャンコにするには最強だとわたしは思います。
えーっと、テーマは「ルイベ」でしたね。わたしはこのように、しりとりに関してただならぬ情熱をかけて勝負をしますから、いつも頭の中は「る」でいっぱいなわけです。で、しりとりの最中、内心で困っていたとき、知らないコトバがでてきて大ゲンカになったことがありました。それが本日の主役、「ルイベ」であります。
相手が誰だったか忘れましたが、わたしが例のごとく「語尾る攻め」を発動していると、敵が絞り出したように
「ルイベ!」
と言ったのです。はあ? なんじゃそりゃあ? 困り果てたあげく、降参するのが悔しくて、つい苦し紛れに自家製コトバを作ったのだと思いました。トチ狂ったんでしょうか。もちろんわたしがそのコズルイ戦法に容赦するわけがありません。
「なに言っちゃってんのーーーーー!」
とたたみかけました。すると、他のモノたちが「ああ知ってるー」「あるよね、ルイベ」「アソビ、知らないのー」と、一気にわたしを責めはじめました。当時はスマホもケイタイさえない時代でしたから、その場で調べるわけにもいかず、民主主義に負け、苦汁をなめることになったのです。
とはいえ、わたしのことですから、勝負には勝ったと思います。思いますというのは記憶にないからです。「ルイベ」という未確認コトバが頭から離れず、いったいルイベとは……? 居酒屋によくあるというその謎の食べ物とは……? その後、ルイベ脳になったことは言うまでもありませんが、まあその日のうちに忘れちゃいましたね、ルイベ。でもしりとりをするたびに、正体もわからないまま
「ルイベ!」
と何回も使用させていただきました。
そして月日がたち、とうとうわたしは今世紀最大の謎「ルイベ」と遭遇することになります。たしか、旅行先で立ち寄った飲み屋だったと思いますが、そこに「ルイベ」がありました。
「ああああああーーーっ!」
わたしは迷うことなく注文し、胸を高鳴らせながらヤツを待ちました。とうとう「ルイベ」とのご対面という、長年の夢(忘れてたけど)が叶う時がやってきたのです。
で、やってきたのは、まあ皆さんご存じだと思いますが、しがない鮭の冷凍食品でした。(サケではない場合もあります
ルイベ)100年の恋もさめるとはこのことでしょーか。しかもわたしは、冷凍だろうがなんだろうが、生のサケはキライなのです。その瞬間、モーレツに「ルイベ」に腹が立ってきました。おいコラ! バカにしてんのか! なにがなんだかわかりません。いや、わかったんだけど、わかりたくないっ!
ル! イ! ベ!
どうですか? どこにも「冷凍」や「サケ」を彷彿とさせる文字が見当たりません。まったくフザけるのも大概にしていただきたい、と思いましたね。わたしは。
そうして憎みながらも、わたしはまたしりとりのたびに、元気よく「ルイベ!」と叫んでいるのです。
本日のオススメ本
ちょうど友人を亡くしたばかりのわたしにはジワワンとくる本でした。
「かないくん展」もで開催中で、これも行きました.グワワン。
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