昨日は少し遠出をしたのだけど、歩きながら木にわずかな花を見つけると、
「あれ桜かな、これ桜かな」
と言ったりした。どんより曇っていたし、時々小雨も降るなどという演出で、どの木もみな寂しげだった。これから咲くのか散っていくのかわからない顔をしている。
桜を待ち侘びているわけでは決してないのに、いちいち気になっていたのはなんなんですか季節に踊らされるミーハーですか。と、今思った。
今日は、お散歩中の仕事場のオーナーさんに久しぶりに遭遇したので、これでもかと犬の纏(まとい)くんを撫でまわした。
「土屋さんとこの階段の下に行くと、上に上がって行こうとするんですよ」
と言われて舞い上がり、撫で回していた手で纏くんをもみくちゃにしてしまった。
「わたしのこと好きなんですか?」
と聞いてみたい。そして大好きと返事をしてほしい。それからわたしも大好きですよと思いっきりハグをする。返事をされなくてもします。
オーナーさんは、近所の桜まつりの情報に詳しかった。
あそこでは今日から桜まつりだけどぜんぜん咲いてなかった。あそこは来週から桜まつりだからその頃には咲くかも......とやたらチェックしているようだった。
ああ、桜が好きなんだな〜と思ったけれど、かつての家にも桜の木があり、全く手入れはしなかった、葉も落ちるしめんどくさい。建て替えの時に抜いてしまった、とのこと。
毎年見事に咲き誇るご近所の桜を指差して、
「あそこんちの桜と一緒だったんです。小学校の時2年上の◯◯くんといっしょに桜の苗木をもらってお互い庭にぶっ差しただけ」
と言っていた。満開の桜はそれほどでもないけれど、毎年目にできるその思い出はうらやましい。
これは去年の今日、家のドアを開けたら見えた桜道