擬態している虫たちを発見したときのヨロコビって尋常じゃないですよね。
大声を出してその雄姿を称えたいけれど、相手は必死に擬態してるもんだから、驚かせることはできない。
ん?バレてる?
「どーしたのー? こんなところにいたのー? だいじょーぶ、なにもしやしないよ」
それでもなお、目をそらし、じーっとがんばっている虫に、あるいは風に吹かれているように演じてる彼らに、けなげだわ、かわいいやら、おかしいやら……で胸がいっぱいになります。いっぱいにはなるけど、大きくはならないところが人間の悲しいところです。せめて胸だけでも擬態してくれないでしょうか……。
なにしろあいつら1日中かくれんぼしているんですから。見つけたときの気持ちは、ゲーム中、息を殺して潜んでいた仲間を見つけたときと等しくて当然です。
そろそろ人間も擬態化していい頃だと思うのですが、なかなか進化しません。
カモフラージュアートは、その願望から生まれた作品ではないでしょうか。
Desiree Palmen - Official website
わたしは擬態というものをしたことがありません。
ダンボールの中に隠れたとか、壁にへばりついたとか、オカンの目を盗んで砂糖を食べるなど、擬態とはかけはなれた"かくれんぼ"ならやったことありますが、擬態はない。
擬態って、「正々堂々と隠れる」という、わけのわからない、でも何気にわかるという構成ですから、擬態人はなかなかの勇者だと思うんです。
機会があればぜひ一度はやってみたい。
ギリースーツなるものもあって、あれはあれで毛むくじゃら関係ですからわたしの好物ではありますが、どうせなら全裸でペインティングしてみたいです。
どうなんだろ……"
雨宮まみ"がひたすら「行きたい」と願ってやまない「ヌーディストの町」なら、この願望も叶えられるかもしれません。
あ、ところで、カラダ中にペイントした場合でも、公然わいせつとして逮捕されるのでしょうか。それはちょっと納得できません。そうだ、そこまで言うなら、今度まみちゃんに試してもらおう……。
そういえば、「石井ゆかりの闇鍋インタビュー」で、まみちゃんがインタビュー受けていました。彼女のテキストは片っぱしから拝読させていただいておりますので、いつものようにフラリと行って読んでいたら、まぎれもなくわたしと、"
まんしゅうきつこ"が出演していました。
「むきだしにしたいんですね。
私は、警戒心とか、周りに対して『こう見られたい』とか
そういうことをすごく意識するんです。
友達が2人いて、
そのうちの1人は、そういうこと何も気にしない人で、
もう1人は、気にするけど、飲めば忘れる、みたいな人で、
私は、飲んでもなかなか忘れられないんです。
この3人で、赤羽で飲んだときに、
『赤羽はイイ街だよ!駅前で転がってても、
誰も何も言わないよ!』
って、1人目がごろごろ、駅前で転がり出したんです(笑)
それを見て、もう1人も転がり出して、
2人でごろごろ、転がってるんですが
私は、1人で鞄持って立って見てるんです。
で、家に帰ったあとで
『あの時ころがっておけばよかった!』とか思ってる(笑)」
2014年5月 雨宮さん・その2|石井ゆかりの闇鍋インタビュー|
もうおわかりでしょう。この、"なにも気にしない人"というのがわたしのことです。
そして、駅前で最初にゴロゴロ転がりだしたのが"まんしゅうきつこ"。
で、「ヤバい! このままでは負けてしまう!」 と、使命感に駆られてあわてふためきゴロゴロしたのがこのわたしです。そして人の行き交う道路のど真ん中で、わたしは大の字になって赤羽の夜空を見上げました。星がきれいでした。
「あーーーーーきもちいいーーー!」
あのときまみちゃんは、うつくしい二の腕をあらわにした、裾の長いワンピースを着ていました。胸元にはいつものように大きめのネックレスが光っていたはずです。(たしか)
だからいっしょにゴロゴロしなかったとばかり思っていたのですが、そんなふうに、ゴロゴロ女二人を、指をくわえてみていたとは……。きっと少しばかりさびしい思いをさせたにちがいない。わたしはこういうときにたいへん疎くなる性分で、人の気持ちなどには考えにも及ばない悪癖をもっています。一瞬だけ反省しました。
反省はしましたが、ええ、たしかにしましたが、やっぱりわたしは、またまみちゃんといっしょのときにこのような緊急事態が起こっても、「あ……」と彼女を気にすることなく存分にやってしまうでしょうし、やっていきたい、ゴロゴロでもゲロゲロでもピョンピョンでもやりたいことはなんでもやっていきたい、そのように思いました。
彼女の存在が、私の言動を抑制するようなものになってしまったら、それはたいへん『失礼』なことです。いや、そんなことするほうが失礼だろうという方もいらっしゃるでしょう。わかります。でもこれがわたしの考える『失礼』とするところであり、友だちの前で、いらぬ気遣いをすることそのものが邪道であり無粋だとわたしは思っているのです。もちろん友だちじゃない人はちがいます。
ゴロゴロしない人がいてとうぜんですし、そのうちゴロゴロはじめてもいい、一生しなくたっていいのです。ただ、大切に思う相手に、失礼なことだけはしたくない。それが他人から見て失礼であろうとなかろうと、そんなことはどうでもいいのです。
さてあのとき、わたしは道路と一体化していたでしょうか……と書きながら、ムリヤリ『擬態』に話を戻します。
過去の、心に残るスペシャルクラスの強盗犯をあげてみます。
・占い師に騙されて、自分が透明人間になったと思いこみ、張り切って強盗をして御用になった人
・シェービングクリームを顔にBUKKAKE、強盗する頃にはすっかり溶けてしまって御用になった人
・紙袋を頭からかぶり、前が見えなくなって御用になった人。
ちょっとこれはもうもはや擬態でもなんでもないのですが、擬態強盗、かなり好きですね。根っから悪い人じゃないと思うんです。その証拠にご覧の通り、すべてあっさりと御用になっていますからね。命に別条さえなければ、負傷してもいいからこのような擬態強盗、一度は遭遇してみたいものだと思いました。
つかあれか、自分がやればいいのか。それはヤだからやっぱり素っ裸は、まみちゃんにお任せしましょう。
---------------
本日のTwitterまとめ
」