以前隣人だった砂川さんが夢に出てきた。
家に行ったら、背中を丸め、顔をテーブルにめいいっぱい近づけて何か小さな細かい仕事をしているように見えた。
何をしていたかというと、確かに小さな仕事だ。
読んで「ああそれはたしかに小さいですね」とやたら納得すると思う。本当に小さい。
死んだノミをピンセットでつまんで、紙の上にせっせと並べていたのだった。
飼いはじめた動物(犬か猫か忘れた)にノミが湧いてしまい、その罰として並べているのだと言う。
砂川一家では、ノミは断じて受け入れられない生き物と捉えているらしく、彼女は半泣きでピンセットを動かしていた。
旦那さんは無言でテレビを見ていた。(ちなみに彼は、矢沢永吉のモーレツなファンだった。現実で)
「ノミなんてどこにでもいるよー。動物ならノミがいてもおかしくないよ。うちの犬にもいたし、外に出さなかった猫にもいたよ」
と、ひどく動揺している彼女をなだめるように言ったのだけど、耳に入らないらしいのでもう一度大きな声で言った。
話してる途中で自分の声で目が覚めた。けれどもそのまま最後まで言い続け、起きあがることに成功。
少し奇妙な夢を見ると、自分を取り巻く環境やその時の心理とかを分析してみたくなるものだけど、だいたい夢なんて奇妙だよね。
なのでやめた。
ノミ、いやですねーって思っただけで終わった。
この犬は、わたしが引っ越してから砂川さんが飼い始めた犬、モカである。